2015年12月

【B型肝炎訴訟】 カルテを永久保存に!~B型肝炎訴訟と医師法~

~弁護士 北村明美のB型肝炎ブログ~

 

カルテの保存期間は、医師法によりわずか5年と定められています。*1
そのため、中には5年でカルテを廃棄してしまっている病院もありますが、これは違法ではないのです。
しかし、カルテが残っていないばかりに、苦しむことになることがあります。

B型肝炎給付金請求訴訟がそのひとつです。B型肝炎給付金請求訴訟では、感染の原因が予防接種であることを証明するため、母子感染ではないことを立証しなければなりません。
既に母親が亡くなっており、年上の兄弟がいない場合、母親の生前のカルテが残っていればどんなにかありがたいことでしょう。母親がB型肝炎ではなかったということが証明できることもあるからです。
しかし、母親が亡くなってから年月が経っていると、カルテが破棄されてしまっていることがほとんどです。

先日ご相談にいらっしゃった甲さん(仮名)は、お母様が17年前に亡くなっており、上のご兄姉もいませんでした。
甲さんはB型肝炎給付金請求訴訟のことを知ってすぐ、病院にお母様の生前のカルテの有無を確認しました。すると、死亡前3ヶ月間のカルテのみ残っており、そのカルテには「HBsAg(-)」の血液検査結果が貼ってありました。検査が行われたのは、お母様が78歳の時です。
B型肝炎給付金請求訴訟では、母親が死亡している場合、母親が80歳未満の時点のHBs抗原陰性の検査結果のみで、母子感染ではないと認めてもらえます。つまり、このカルテによって、甲さんは母子感染ではないということを証明することができたのです。
もしカルテが全く残っていなかったら、多分甲さんは給付金を貰えなかったのではないかと思います。

カルテはだいぶ前から電子化され、非常にコンパクトになりました。大量に保存が可能になったので、カルテの永久保存も決して不可能ではないはずです。
今回はB型肝炎給付金請求訴訟を例に出しましたが、カルテの永久保存は、他の多くの方にとっても役立つでしょう。ぜひカルテを永久保存にするよう医師法を改正してください。

 

*1 医師法第24条(平成二六年六月一三日法律第六九号)

第24条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。

 

 

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北村法律事務所 弁護士 北村明美
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B型肝炎訴訟・B型肝炎給付金の相談料・着手金は無料です。
弁護士報酬は、実質2%になります。ただし、困難事案は、別途相談させて下さい。
実費は別途必要となります。

 

【B型肝炎訴訟】 B型肝炎給付金請求訴訟Q&A パート3

~弁護士 北村明美のB型肝炎ブログ~

 

■ 感染方法について

Q.1 B型肝炎の人と話をしたり同じ鍋を突いて食事をしたりすると、B型肝炎はうつるのでしょうか。

普通の生活を送っていれば、B型肝炎の方と一緒に過ごしていてもHBVに感染することはありません。 感染するのは血液を介してです。 また、感染している人の血液の中のHBV(B型肝炎ウイルス)の量が多い場合には、その人の体液を介して感染することもあります。

例えば次のような場合に感染する危険性があります。
①HBV感染者からの輸血、臓器移植等を受けた場合
②HBVに感染している母親から生まれた子に対して、適切な母子感染防止策を講じなかった場合
③適切な消毒をしていない器具を使って入れ墨、ピアスの穴あけ、出血を伴う民間療法などを行った場合
④HBV感染者が使った注射器・注射針を、適切な消毒などをしないでくり返して使用した場合
⑤他人と注射器を共用して覚せい剤、麻薬等を注射した場合

詳しくは、日本医師会のページを参考にしてください。

Q.2 母子感染とはどのように感染するのですか?

HBVは血液を介して感染するので、母子間での感染ルートは子宮内での感染、経胎盤感染、産道での感染、また出生後の母乳から感染等の可能性があります。特に出生時、経胎盤感染で感染するケースが多いです。 ですが、母子感染は適切な感染防止処置を行うことでほぼ防ぐことができます。 産まれた赤ちゃんにB型肝炎ワクチンに投与することでほとんど感染を免れることができるので、今後妊娠・出産される方もご安心ください。
詳しくは、白木和夫先生の「B型肝炎ワクチンと母子感染防止」を参考にして下さい。

 

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【B型肝炎訴訟】 B型肝炎給付金請求訴訟Q&A パート2

~弁護士 北村明美のB型肝炎ブログ~

 

 

■ 母子感染について

Q.1 母子感染でないことを証明するにはどうしたらいいですか?

①お母様が生きている場合
お母様が生存しておられれば血液検査をしてもらって下さい。HBs抗原とHBc抗体です。HBs抗原が(-)、HBc抗体が(+)でも、CLIA法で10未満であれば母子感染でないと認めてもらえます。
②お母様が死亡している場合
お母様の血液検査結果がカルテ等で残っていればそれを証拠として出します。
残っていない場合、年上の兄弟姉妹はいませんか。年上の兄弟姉妹が血液検査でB型肝炎に感染していないことを証明できれば、母子感染ではないと認めてもらえます。

Q.2 わたしは、長女(長男)です。母親は亡くなり、母親の血液検査結果は残っていません。ダメでしょうか。

このような場合でも、母上の死亡診断書を法務局から取ったり、残っているカルテの一部から医師に意見書を書いてもらう等して、母上がB型肝炎ではないということを立証し、国や裁判所の総合的判断をあおぐケースがあります。

Q.3 母親もB型肝炎です。母子感染はダメですよね?

お母様が集団予防接種によってB型肝炎に感染したことが証明できれば二次感染者となりますので、請求が 可能です。お母様が一次感染者の要件をすべて満たしていることを立証する必要があるので、そのための書類も揃えなければなりません。まずは一度ご相談ください。

Q.4 母親にHBs抗原とHBc抗体の検査をしてもらったところ、HBs抗原は(-)でしたが、HBc抗体が(+)でした。医者はHBc抗体が(+)なら母子感染の可能性があると言うのですが、どうしたらよいでしょうか。

HBc抗体が(+)でも、CLIA法という検査方法で10未満であれば、母子感染ではないと国は認めてくれます。まずは数値を確認の上、お気軽にご相談ください。

Q.5 HBc抗体がCLIA法で10.6だったのですが、もう母子感染ではないと証明できないでしょうか。

CLIA法以外の検査方法もあります。CLIA法で10より高い数値が出た人で、その検査方法でやるとHBc抗体が(-)という判定が出たケースもありますので、ぜひご相談ください。

Q.6 母親は亡くなっているのですが、HBs抗原(-)の検査結果が残っていました。HBc抗体の検査はしていないのですが、どうしたらよいでしょうか。

お母様が80歳未満の時点の検査結果であれば、HBs抗原(-)という検査結果があるだけで母子感染でないと認めてもらえます。80歳以上の場合でも、他の事項(死亡診断書を取ると死亡原因がB型肝炎とは全く異なっている、母上の病院のカルテを見てもB型肝炎のことが問題にはなっていない等)という証拠が提出できれば、総合的に判断をあおぐということも可能です。

 

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【B型肝炎訴訟】 B型肝炎給付金請求訴訟Q&A パート1

~弁護士 北村明美のB型肝炎ブログ~

 

 

Q.1 給付金はいつ頃もらえますか?

スムーズに進めることができても、提訴してから早くても半年以上はかかります。霞ヶ関の役人が30人体制で、全国から集まってくるカルテなどを見て、不足したものがなかチェックして、無ければ和解上申書が来て和解をするという段取りになります。不足したものがあれば追加でどういうものを出してくれと書面が来ます。その場合はまた追加の書面を出すことになります。和解をしてから和解調書と住民票を添えて給付金を請求します。決裁時期がありますので、給付金が支払われるまで1、2ヶ月かかります。
なお、給付金が支払われる時期は、書類をどれほど早く、不備なく揃えられるかによって大きく異なります。 ケースバイケースですが、順調に手早く手続きを進められれば、それだけ早く給付金の支払いは早くなります。 まずはお客様で書類を集めていただくことになりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

Q.2 カルテ等の取寄せもやってもらえるんですか?

基本的にはお客様に集めて頂き、集めた資料等を当事務所で精査します。どんな資料が必要になるか、どのように請求したらいいかは当事務所でしっかりとお教えしますのでご安心ください。

Q.3 遠方に住んでいるので事務所まで行くのは難しいんですが…?

電話やメールでの相談も可能です。どちらにお住まいの方でも、書類さえ揃えられれば提訴することができるのです。当事務所は全国対応しておりますので、お気軽にお電話ください。また、裁判手続きは弁護士が代理で行いますので、お客様が裁判所に行く必要も通常ございません。

Q.4 もう治ってしまったのですが、請求できますか?

過去にB型慢性肝炎等発症し、治療によって今は症状が治まっているというのであれば可能です(完治の場合は持続感染ではなく一過性感染であるため除きます)。
ただし慢性肝炎の場合、状況により給付金額が異なります。
発症後20年未満であれば1250万円、発症後20年以上経っており現在も治療中(過去にインターフェロン治療をしているケースを含む。) であれば300万円、 治療していないケースは150万円となっております。

Q.5 実費を支払う余裕がありません。後払いは可能ですか?

基本的には先払いで頂いておりますが、死亡・肝がん・重度の肝硬変の場合印紙代だけでも12万8000円にもなり、郵便切手代も併せると大きな負担になるかと思います。当事務所ではより多くのお客様を救済するため、給付金が支給されるタイミングでの後払いも承っております。 どうぞご気軽にご相談下さい。

Q.6 母子手帳も接種痕もない場合、訴訟は難しいでしょうか?

まず、接種痕は自分では見つけることが難しい場合があります。自己判断だけでなく、一度医師に見てもらってください。

集団予防接種を受けたことを証明するには、以下の3つのうちいずれかを提出することが求められます。
①母子健康手帳
②予防接種台帳(市区町村が保存している場合)
③母子健康手帳や予防接種台帳を提出できない場合は、
・事情を記載した陳述書(ご本人などが作成したもので構いません)
・接種痕が確認できる旨の医師の意見書(医療機関において作成)
・住民票または戸籍の附票(市区町村において発行)
※場合により,予防接種台帳に記載がない旨の証明書 つまり予防接種台帳を提出するか、陳述書や意見書等によって証明することも可能です。

Q.7 私は国家公務員なのですが、B型肝炎の給付金をもらうために国を被告にして訴訟をすることで昇進や昇給に響きますか?

国と闘うわけではありません。闘ってくれた裁判が終わり、B型肝炎特別措置法が制定されました。その法律自体が、訴訟を提起しなければ給付金がもらえない内容の法律となっているため、訴訟を提起するだけです。ほとんどの場合判決をもらうことはなく、和解で終わっており、国家公務員の方が原告になってもそのことで人事的に不利になったりすることは決してありません。ご安心ください。給付金のための予算も十分取ってあるので、B型肝炎の訴訟を国相手に起こしても、国からにらまれたりすることは全くないと思います。

 

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B型肝炎訴訟・B型肝炎給付金の相談料・着手金は無料です。
弁護士報酬は、実質2%になります。ただし、困難事案は、別途相談させて下さい。
実費は別途必要となります。

 

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